外国株

解禁された米国株の信用取引!その全貌とは?

皆さんは2022年7月1日に米国株の信用取引が解禁されたことはご存じでしょうか。

私が米国株に投資を始めた5年程前は、現物株においても手数料が高かったです。非常に米国株のハードルが高かったことを覚えています。

それが信用取引が可能になるとは、感慨深いものがあります。
さて、今回の法改正は、個人投資家の投資機会を多様化させるという趣旨。しかし、そもそも信用取引は、比較的リスクの高い投資手法です。大きな利益をもたらす可能性がある一方で、大きな損失をもたらす危険性もはらんでいます。
そのため、日本の株売買と米国株売買にあるいくつかの違いをしっかりと理解することが重要です。

今回は、投資家の皆さんが米国株の信用取引をする上で理解すべき、日本株と米国株の違い、メリット・デメリットなどについて解説していきます。

米国株の信用取引の対象銘柄

ダウ工業株やS&P500種株をはじめ、時価総額や売買代金など一定の条件を満たす大型株およそ1300銘柄が米国株信用取引の対象です。

S&P500種指数とは、アメリカを代表する株価指数。500社の銘柄で構成されており、アメリカ市場の動向を知る上で欠かせない指標です。

【S&P500種指数の銘柄トップクラス企業名】

アップル(情報技術)

マイクロソフト(情報技術)

アマゾン・ドットコム(一般消費財・流通システム)

テスラ(一般消費財・自動車)

アルファベット クラスC(インターネット・サービス Google)

そもそも信用取引とは

「この株は上がりそうだ!しかし、資金が足りない…」という時に、信用取引なら資金不足に悩むことなく投資をすることができます。

信用取引は、証券会社に所有している現金や株式を担保として預け、自分の保有している資金よりも多くの資金で株取引を行える取引です。
信用取引を活用することで少ない資金でも効率的に投資が可能になります。資金不足時でも、引チャンスを逃さない便利な手法と言えます。

日本株と米国株の違い

前提条件として、日本株と米国株の違いを理解する必要があります。大きな違いとしては次の2つです。

①日本株は、100株単位での売買が一般的ですが、米国株は1株から売買が可能です。そのため、より少額から分散して投資が可能です。

②日本では個別銘柄ごとにストップ安、ストップ高という、株価の下がり過ぎや上昇し過ぎを防ぐために強制的に売買を止める制度があります。
各銘柄の株価によってどのくらい下げたら、もしくはどのくらい上がったら取引を停止するかなどが細かく決められています。
米国株の取引には、こうした売買システムはありません。そのため、値動きの幅は大きく変化することもあります。

信用取引できるようになったことで、より利益・損失の幅が広がると言えます。

信用取引における日本株と米国株の違い

先ほど書いた通り、米国株の取引では日本株の「ストップ高」や「ストップ安」のという仕組みがありません。そのため、例えば、為替の変動や取引時間の時差などを考え、保証金率や追加の担保差し入れ(追証…おいしょう)の発生基準となる保証金維持率が、日本株の信用取引よりも率が高い設定となっています。


*日本株と米国株の信用取引の条件の違い

信用取引の条件    日本株   米国株
・保証金率      30%    50%
・追証発生基準    20%    30%

信用取引では現金や株式を担保にして、定められた保証金(担保)の率を維持します。
つまり、日本株で100万円の取引をしたいときは、30万円を証券会社に預ければ取引が可能となります。

米国株は、上記の表を見てわかるように取引額の50%が必要となります。
次に、表の2番目「追証発生基準」ですが、追証とは簡単に言うと保証金の追加です。
例えば、信用取引で買建てた銘柄が値下がりをすれば、その時点で含み損(損金)が出ています。
その時の含み損により保証金(担保)率が、一定の比率(最低維持率)を下回った場合、定められた期日までに追加で、保証金(担保)を証券会社に預ける必要があり、これ「追証」と呼びます。
日本株は20%ですから、保証金を60万円預けて100万円の取引をしたとします。
100万円の取引ですから、仮に損金が出てしまった時、設けられた基準率の20%の20万円は保証金として残っていないといけません。
例えば、取引銘柄が50万円分下がってしまうと、預けた保証金は10万円となってしまいます。追加保証金(追証)を入れなければいけないということです。
米国株の信用取引の場合は、その基準率が30%を下回ると追証が必要です。

「米国株信用取引」のメリットとデメリット

「米国株信用取引」のメリット

①少ない予算で株が購入できる
通常の株取引は、100万円の株式を購入する場合、現物取引では100万円が必要です。一方で、米国株の信用取引では保証金率が50%ですから、50万円の保証金を証券会社に預ければ株式を購入することが可能です。
自己資金が少なくても、額面の大きい取引ができるのがメリットです。

②下落相場でも利益を得られる
株投資は「安く買って、高く売る」ことで利益をもたらしてくれます。
米国株の信用取引では、もちろん売りからの注文(空売り)可能です。下落相場でもこの方法で利益を得ることができる可能性があります。

「米国株信用取引」のデメリット

自己資金の2倍まで取引できることから、大きな利益を狙うことも可能です。

一方、取引銘柄が損失になる可能性もあります。損失額が大きいと「追証」発生のリスクがあります。
米国株には「ストップ高」や「ストップ安」という仕組みがないため、取引銘柄の株価が一日で急落すれば、大きな損失が発生するリスクがあります。

「米国株信用取引」が、可能な国内証券会社

2022年7月にサービス開始となった米国株信用取引。SBI証券、楽天証券の2社、マネックス証券は2022年中にサービスを開始する予定となっています。
取引口座の事前申し込みに関しては、3社とも受け付け中です。


◇SBI証券

ネット証券業界で手数料が安くTポイントと連携があることから人気を集めています。また、5,000件近い米国株式を取り扱っていることから、自身が購入した株の取引銘柄を探しやすいでしょう。

◇楽天証券

楽天グループの証券会社ということで、楽天ポイントをためることができます。楽天ポイントを集めている方にとってはお得な感じがするでしょう。
また、米国株式の取扱銘柄も多く、特定口座やNISA口座にも対応しています。そのため、資金運用の幅が広がる可能性があります。
また、米国株式信用取引の委託保証金が、日本円・米ドルのどちらも保証金として利用可能なのも特徴です。

◇マネックス証券

米国株投資と言えばマネックス証券と言われるほど米国株の取り扱いに実績があります。
米国株の取扱銘柄は4,500銘柄を超えており、注文方法にも特徴があります。
それは、株価に合わせて、逆指値注文価格をリアルタイムで自動修正する「トレールストップ注文」や、利益確保のための指値注文と損切りの注文を同時に出せる「ツイン注文」は、他の証券会社では扱っていません。
取引の幅を考えていきたい投資家の方に、利用しやすい証券会社でしょう。

まとめ

米国株の信用取引の解禁で、株投資のハードルはまた1つ低くなりました。米国株の市場は活発になると予想されています。
しかし、米国株は値幅制限がありません。一瞬で資産を使い果たしてしまう可能性あります。このため、国内株よりもリスクが高いかもしれません。
米国株の信用取引では、通常の投資のように余剰資金で投資を行うことと損切りラインを決めて取引をすることを心がけましょう。
これは、株の信用取引だけに限ったことではありません。売買する銘柄の株価動向を常に見据えていくことが、投資を成功させるためには重要なことです。

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信用取引について紹介した記事です。