資産運用の基本

株式投資で確定申告が必要な場合とは?基準は20万円!

株式投資においては、確定申告について理解することは欠かせません。しかしながら、会社員の方で確定申告を行ったことがない方の場合、不安や面倒くささを感じることと思います。

確定申告について理解することは決して難しいことではありません。今回は、株式投資における確定申告の基本や、「しなければならない場合」や「した方が得な場合」についてやさしく解説していきます。

株式投資の確定申告とは?

そもそも「確定申告」とは、収入に対してかかる税金である「所得税」を、自分で計算して申告と納税を行うことをいいます。

株式投資で確定申告しなければならないのは、原則的に給与所得以外の利益が20万円を超える場合となります。なお、株式投資で損失が出た場合は、基本的に確定申告は不要になります。

口座の種別と確定申告の必要性

株式投資を行った場合、開設する証券口座の種類によって、確定申告をしなければならないのかが違ってきます。

株式投資を行うために開設できる証券口座には、次の3種類があります。

・特定口座(源泉徴収あり)

・特定口座(源泉徴収なし)

・一般口座

証券会社で口座開設をするときは、特定口座と一般口座のどちらかを選択することになります。

特定口座を選択した場合は、さらに「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」かを選択します。

特定口座(源泉徴収あり)

源泉徴収ありの特定口座の場合、原則として確定申告をする必要はありません。

所得税や住民税の源泉徴収を、証券会社が代わりに行って納税してくれるからです。自分自身では何もしなくてよいので、一番手軽で簡単な口座になります。

特定口座(源泉徴収なし)

源泉徴収なしの特定口座の場合、20万円を超える利益がでていたら確定申告をする必要があります。

しかし、自分で譲渡損益を計算する手間はありません。証券会社が譲渡損益を計算して、年間取引報告書を送付してくれます。その年間取引報告書に基づいて確定申告を行い、税金を納付することになります。

一般口座

一般口座の場合も、20万円を超える利益がでていたら確定申告をする必要があります。

この場合は、源泉徴収なしの特定口座とは違って、証券会社から年間取引報告書は送付されません。年間の取引を記録した取引報告書を自分で計算して、確定申告を行わなければなりません。

自分自身ですべてを行わなければなりません。そのため初心者にはハードルの高い口座になっています。

初心者の方には、特定口座の源泉徴収ありがおすすめです。楽チンですからね。
ただ、「年収2,000万円以下の給与所得者で、給与以外の所得が年間20万円以下の場合は、確定申告をしなくても良い」となっています(住民税の支払いは必要)。利益は20万円以内であれば、特定口座の源泉徴収なしの方がお得と言えます。

確定申告をした方が得する場合とは?

源泉徴収ありの特定口座の場合は、利益がいくらであっても、確定申告をする必要がありません。

また、源泉徴収なしの特定口座や一般口座の場合でも、株式投資での利益が20万円以下の場合、確定申告をする必要がありません。

しかし、確定申告をした方が得する場合もあります。

損益通算

損益通算とは、1〜12月の1年間に行われた売買での利益や損失を通算することです。最終的に利益がでたのか損失となったのかを算出します。

例えば、1年間の損益が以下のような場合で見ていきます。

・100万円の損失
・10万円の利益

この場合の利益は10万円ですが、そこから20.315%の税金が天引きされます。手元に入るお金は 79,685円になります。

しかし、損失は100万円なので、トータルすると920,315円の損失となります。

しかし、確定申告を行った場合、100万円の損失から利益の10万円が相殺され、90万円の損失になります。そのため、天引きされた79,685円は還付されることになります。

また、複数の証券会社を利用していて、片方で利益、もう一方で損失が出ている場合も同じことが言えます。

証券会社A:100万円の損失
証券会社B:50万円の利益

この場合、税金が引かれるので利益は398,425円となり、合計では601,575円の損失となります。

しかし、確定申告を行った場合、100万円の損失から利益の50万円が相殺され、50万円の損失になります。

確定申告をしないと、違う証券会社の損益は通算されません。

源泉徴収ありの特定口座でも、違う証券会社の損益は、証券会社が確定申告してくれるわけではありません。他の口座との損益通算をする際は、必ず確定申告を行うようにしましょう。

繰越控除

繰越控除は、取引で発生した損失額を翌年3年間にわたって繰り越すことができる制度です。

株式投資で損失が出てしまったら、まずは損益通算を行うことが必要になります。それでも損失分のマイナスが残っている場合には、繰越控除を行うことができます。

・2022年に株式投資を行い100万円の損失が出た。
・2023年に20万円の利益がでた。

この場合は、2023年の20万円の利益に対して 40,630円の税金を取られてしまいます。

しかし、繰越控除をすると、2022年の損失と2023年の利益で損益通算を行えるので、2023年は税金を払わなくて済みます。

さらに、まだ80万円の損失があるので、この損失を翌年にも繰り越すことができます。

ただし、損失が生じた年はもちろん、その損失を繰り越す期間は、毎年確定申告をしなければなりません。

外国税額控除を行う場合

その他、外国株に投資している場合も確定申告で特になる場合があります。外国株式の配当金や海外ETFの分配金は、租税条約により、外国では課税されません。
しかし、配当金や分配金は、現地でも課税されているため、その二重課税を調整するために、一定額を所得税額から差し引くことができる外国税額控除を受けることができるのです。そして、外国税額控除を受けるためには、確定申告が必要になるのです。

外国税額控除については以下の記事で紹介しています。

確定申告の方法は?

所得税及び復興特別所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税及び復興特別所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。

国税庁、令和元年度確定申告のページより

確定申告の方法としては、

・e-Taxにより、オンラインで完結する方法
・自宅で確定申告の書類を書き郵送・持参する方法
・税務署で書いて提出する方法

があります。

オンラインの方法については、マイナンバーカードとマイナンバーカード対応のスマートフォンをお持ちの場合は、スマートフォンから確定申告が出来るので非常に便利です。

詳しくは
以下ページをご覧ください。
https://www.e-tax.nta.go.jp/kojin.html

まとめ

「難しそう…」「面倒臭そう…」といったイメージがある確定申告ですが、行うメリットはたくさんあります。

さらに、思っているほど難しいものではなく、ネットでも簡単にできてしまいます。

確かに手間と時間がかかる作業ではありますが、せっかくの利益を減らしたくないと思っている方にはおすすめの方法になります。

確定申告についての正しい知識を身に付けたら、実際に確定申告を行い、賢く節税を行いましょう